SharePointの活用に関する考察シリーズ

SharePointの "管理者" と "ユーザー" の位置付け

SharePoint に関わっていると人によって認識が大きく異なると思うのが「SharePoint の管理者」と「SharePoint ユーザー」の役割です。

たとえば皆さんは、"SharePoint のユーザー"と聞いた場合に、どのような役割の方を想像されますか? 「エンドユーザーとしてファイルのダウンロードや閲覧のみ利用する」あるいは「一部のユーザーにはファイルのアップロードはさせ、アクセス権限の管理もする」などおそらく、企業や人ごとに認識はまちまちだと思います。また、"SharePoint サイトの管理者"に関しても「サイトの管理権限を持つがサーバー管理はしない」あるいは「サーバー管理も行う」など認識が異なっているはずです。

どうしてこのように大きく認識が異なるのかを考えた場合、大きい理由の一つはどのような管理タスクがあるのかを整理できていないことにあるのではないかと思います。しかし、意思疎通を図る上で、どの業種でも用語の定義は非常に重要なのはご存じの通りで、これは SharePoint にも言えることです。特に、SharePoint Server の場合は多機能かつサイトのカスタマイズなども非常に柔軟に行えるため、役割の範囲を決めて、どのツールをどの担当者の範囲で利用させるのか或いは許可するのかなど十分に考慮する必要があります。従って、 SharePoint を利用する上で、具体的に誰がどのような役割なのかを明確にするために、こうした用語と役割の認識が曖昧になっている可能性がある場合は、組織内でそれぞれの立場を認識するための意識合わせをするために一度見直しをすることをお勧めします。

なお、ご参考までに弊社では基本的なSharePoint の管理者やユーザーの位置付けをより細分化して考え、次のように大別しています。

分類役割の名称役割の範囲
管理者サーバーの管理者SharePoint サーバーのインフラストラクチャの管理を行うシステム管理者、サーバーファーム全体に関わる管理(SharePoint サーバーの全体管理サイトおよび共有サービスプロバイダの管理サイトの利用)を行う。

具体的には、SharePointのサービスパックの適用、バックアップ・復元、Webアプリケーションの作成と管理、サイト コレクションの作成、クォータ設定の管理、検索に関する全般管理など。
サイト コレクションの管理者サイト コレクション全体の管理を行う。

具体的には、サブサイトの作成や管理、サイト コレクションのユーザー管理、サイト コレクションの機能の管理、ギャラリーの管理、キャッシュの調整、検索範囲およびお勧めのコンテンツの管理など。
サイトの管理者サイトごとの管理を行う。

具体的には、Webパーツの配置、リストやライブラリの作成と管理、サイト、リスト/ライブラリに対するアクセス権限の設定管理、ナビゲーションの管理、サイトのデザインの管理、ロケール設定など。
ユーザーパワーユーザーサイトの管理者と一般ユーザーの中間的な役割を担う。サイトに対するアクセス権限の管理などは行わない、サブ管理者的な位置付け。

特定のライブラリやリストに対する権限を持ち、具体的にはSharePoint Designer を用いたカスタムページの作成、簡単な UI カスタマイズ、ノンコーディングによるワークフロー構築を行う。また、InfoPath を用いたフォームおよびライブラリの作成などができる。ただし、サイトの管理者が兼任する場合も多い。
一般ユーザーサイトに対する管理権限を持たず、サイトに対する投稿権限または閲覧権限を持つ。

投稿権限を持つ場合は、ファイルのアップロード/ダウンロードやアイテムの追加/参照が行える。閲覧権限のみの場合は、ファイルのダウンロードとアイテム参照のみが可能。
開発者開発者Visual Studio (C#や VB.NET)を使用して、Webパーツ開発、カスタム ワークフロー開発やASP.NET Webフォーム、イベントレシーバー、サイト定義、リスト定義、列定義、タイマージョブ等の開発ができる。 多くの場合、サーバー管理、サイト コレクションの管理、サイト管理、パワーユーザー相当の知識が必要となる。
また SharePoint 2013 に対応する場合はクラウドベースの開発知識(SharePointアプリ開発)が必要となる。特に、今後のクラウドベースのソリューション開発にはJavaScriptに精通している必要がある。
UIデザイナーSharePoint Designer を利用し、マスタページおよびスタイルシートを新規に作成するなど高度な SharePointの既定のユーザーインタフェースのカスタマイズを行う。ASP.NET 2.0 以降の知識が求められることが多い。SharePoint 2013 では UI カスタマイズの難易度が下がったといわれるが、小回りの利くカスタマイズを実施しようとする場合は依然として ASP.NET の基礎知識があった方が理解がスムーズである。

上記のように、弊社では主にインフラ周りの管理者をサーバー管理者として位置付け、ユーザーコンテンツの管理を行う管理者をサイト コレクションおよびサイトの管理者(両者をまとめてサイトの管理者と呼ぶこともあります)と位置付けています。

ちなみに、SharePoint サイトの利用促進に重要な存在は、サイト管理者でありパワーユーザーだと考えています。SharePoint の標準機能とOfficeなどの連携ツールとの使いこなしを考えていく存在です。サイト管理者だけでなく、パワーユーザーとなる人材を支援していくことで、ユーザーのリーダー的位置付けになってくれ、ちょっとした相談もできる存在可能になれば。一般ユーザーも安心して利用できると考えるからです。

 SharePoint Server 2010 以降では、これまで以上にユーザー視点での SharePoint のカスタマイズが柔軟にかつ手軽にできるようになっているため、サイト管理者およびパワーユーザーを支援することが非常に重要です。弊社では、ユーザーの方に役立つノウハウの蓄積と今後このようなサイト管理者およびパワーユーザーとなる人材のご支援にも注力して参ります。

公開日時 : 2010年 1月19日 | 更新日時 : 2014年 4月21日