SharePointの活用に関する考察シリーズ

SharePoint を使ったナレッジ共有の考え方 (Notes との比較)

組織内でなんらかのシステムナレッジ共有を考える場合、大まかに言えば次の2つのステップが存在します。

  1. 情報の蓄積
  2. 情報の再利用 (検索などを含む)

SharePoint サイトを利活用する上でもこの概念は重要です。SECIモデルでいわれるところの "表出化" と "連結化" に該当するところです。従って、まずは、どのように情報を蓄積していくかというのが課題です。SharePoint サイト用意してもなかなかみんなが使ってくれない、という話もよく耳にします。とはいえ、これは SharePoint というシステム固有の問題化と言えばそれは No です。

多くの方が誤解されているのは、何もしなくてもコンテンツを格納しておけば、みんなが見てくれるであろう、みんながファイルなどをアップロードしてくれるだろうという期待をしていることです。SharePoint はあくまで情報共有のための道具にすぎません。人が介在しなければうまくいかないことは多々あります。有用な情報を SharePoint においていさえすれば、それでいいのではなく、正式な告知、口コミによる広がりなどがないと、その情報の格納場所や何が格納されているかなど、ユーザーは知る由もありません。

SharePoint は Notes からのシステム移行をするケースが多々ありますが、Notes を使われている企業では、情報の蓄積は文化として根付いていることが多いと思います。とはいえ、導入初期には、Notes もSharePointと変わらない課題を抱えていたはずで、Notes の場合はユーザーにとっては利用するためのハードルが低いツールであったため、様々な利用がされ口コミ的な広がりで全社展開へ発展するといったボトムアップ的な展開も少なくなかったようです。

Notes の良さは、"情報の蓄積のしやすさ" にあると思っています(SECIモデルでの表出化に相当)。掲示板などでは定性的なデータをフリーフォーマットで書き込め、かつファイルをベタベタ貼り付けて利用することなども自由にできるためユーザーは思考を止めることなく書き込みやすい利点があります。

そこで、Notes と SharePoint とでナレッジ共有を考えた時の大きな違いは何なのかという疑問に突き当たります。違いは、「情報の再利用」にあると考えます(SECIモデルでの連結化に相当)。SharePoint は SQL Server がベースとなっていることもあり、定型的にデータを管理するシステムです。Notesの場合は、書き込まれている情報を表、ファイル、TODO などに抽出して分類することがしづらく、定型的なデータとしての扱いは不向きです。しかし、SharePoint は定型データ管理がベースであるため、データの抽出がしやすく再利用がしやすいのです。たとえば、会議を行って各担当者のタスク(仕事)が決まった場合、仕事は会議に関連付けられますが、それ以外にも、関連プロジェクトの情報との関連付けが可能です。また、担当者は自分に割り当てられたタスクを一覧することもできます。SharePoint は、検索機能も持っているため、蓄積された情報は検索により再利用される可能性が高まります。

  • Notes はユーザーにとっては情報の蓄積はしやすい
  • SharePoint は設計の難易度は高いが、再利用がしやすい

ナレッジ共有の概念イメージ

Notes で培った情報共有のノウハウがあれば、次のステップである既存情報の再利用まで視野に入れたシステムを利用すべきであり、そういった点では SharePoint は優位であるといえるのではないでしょうか。

SharePoint の機能を十分に活用するには、この「情報の再利用」を行うことを念頭に入れたシステム作りが大切だといえます。

公開日時 : 2010年 11月19日 | 更新日時 : 2010年 11月19日